アジアカップのラウンド16が始まった。負けたら終りの厳しい戦いだ。日本の相手は
韓国でもヨルダンでもなくバーレーンだ。韓国は最終マレーシア戦のアディショナルタ
イムに追いつかれて引分。E組の2位通過は日本戦を避けたのではないか、と勘ぐられ
た。バーレーンはCFに長身のユスフを擁しロングパスからのカウンターとセットプレ
ーを得意とするチームだ。同型のイラク戦の敗戦で学習したのは幸いかも知れない。日
本の先発陣はインドネシア戦のメンバーからCBの町田が板倉に入れ替わったのみ。
FIFAのランクなどこの場に及んでは参考にならない。アジアの国のレベルは確実に上っ
ており、ボールは保持出来ても中々突破できない。4-1-4-1の型がきれいに出来上がっ
ている。ゴール前を固められた時の鉄則はミドルシュートで崩して行くことだが、30
分過ぎに毎熊が強烈なミドルを放つとポストを直撃しこぼれ球を堂安が拾い確実に決め
た。後半早々には自らの奪取からゴール前に流れたボールを久保が拾い落ち着いて決め
2点差とした。一旦はオフサイドの判定であったがVAR介入により久保への「パス」
は相手側選手によるものでゴールが認められた。堂安にしろ久保にしろゴール前に詰め
て拾い、しかも確実に決めた。ところがここでミスが出る。相手CKからのシュートを
GK鈴木が真上に弾いたボールに上田が重なりオウンゴールを献上してしまった。CK
に至る前のプレーだが、ゴールエリア上の柔らかく上ったボールを鈴木がキャッチする
かと思われたがパンチングで逃れ、これが安易に敵側に回ってしまった。ゴールライン
上での連携ミスもあったが、そもそも失点の要因はこのプレーにあったとみる。その直
後の日本チームにはドタバタ感があり、BK陣が無理なくつなげそうな場面も蹴り出す
だけで、相手の攻勢を許していた。そんな時に出た上田のストライカーらしいプレーは
秀逸だ。自ら持ち込んで決めた3点目は試合を落ち着かせた。何はともあれベスト8へ
進出できた。後半途中から三苫を投入し、観るものを楽しませてくれたが、浅野の拙い
プレーで得点には至らなかった。また数人を抜いてゴールライン上から折り返してもP
エリア内に相手選手が密集しておりゴール前に届かないケースも多々あった。三苫を
「おとり」にして他のルートから攻めるとかの工夫も必要だ。
ベスト8をかけた他の試合は壮絶だ。韓国はアディショナルタイム(AT)の9分に追
いつきPK戦を勝ち抜いた。イラクは日本戦で2点獲ったアイマンがイエロー2枚で退
場の末、ATに2点奪われ逆転負けした。まさに「タイムアップの笛がなるまで分から
い」試合がこれからも続きそうだ。PK戦の覚悟も必要だ。日本代表はGK鈴木と心中
するのだろうか。
準々決勝の日本の相手に決ったイランはシリアとのPK戦を制し勝ち上ったが、エース
の一角のタレミがイエロー2枚で日本戦は出場停止だ。ところが日本にも伊東純也のス
キャンダルが突然湧いて出て、離脱だ復帰だと騒がしい。イラン戦の死闘を予感させる
出来事だ。